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質問1:真の実効値とは何ですか?

答1:フルークのデジタル・マルチメーターを使って交流電圧、交流電流を測定する方式には「真の実効値」方式と「平均値応答実効値表示」方式があります。平均値応答実効値表示方式は、測定する信号波形がきれいな正弦波であることを前提としており、信号を整流して得られる平均値を計算で1.1倍した実効値として画面に表示しています。そのため非正弦波の測定には適しておらず、例えば信号波形が矩形波の場合には測定値が約10%大きく表示されます。真の実効値方式では非正弦波の実効値が得られるように設計されているため、歪んだ正弦波や矩形波の測定にも適しています。ただし、波形によっては真の実効値方式のマルチメーターでも対応できない場合があるため、波形が未知の信号を測定する際はオシロスコープの使用を推奨する場合もあります。

質問2:パソコンに接続して使える製品はありますか?

答2:ハンドヘルド型でパソコンに接続できるのはモデル287および289の2機種です。通信コマンドは公開しておりませんので専用ソフトウェアが必要になり、キット(287/FVFまたは289/FVF)でのご購入をお勧めしています。専用ソフトウェアでは測定値のモニタリング、一定間隔(最短1秒)での記録、CSV形式での保存、測定結果を用いた文書作成などをおこなうことができます。プログラミングによるコマンド制御が必要な場合はベンチトップ型(注1)をご検討ください。

(注1)校正器営業部の取り扱い製品となります。

質問3:スペック表にある測定確度の見方を教えてください

答3:マルチメーターの仕様書には「%値 + 数値」という形式で、例えば「0.5% + 3」のように確度が書かれています。1つ目の%値は、特に指定がない限りは読み値(画面に表示されている測定値)に対するパーセントで、2つ目の数値は画面表示の右端にあたる最小桁のカウント数になっています。

例) 電圧の読み値が100.0Vのとき、その測定確度が仕様書に「0.5% + 3」と書かれている場合
「(100.0Vの0.5%)+(0.1Vの桁の3カウント分)」=「0.5V + 0.3V」=「0.8V」 のように計算します。
確度は正負の値をとりますので100.0V ± 0.8Vとなります。

質問4:電流クランプを使って測定すると期待した電流値が表示されません

答4:電流クランプで測定したときには、例えば500Aを測定してもメーターの画面にそのまま500Aとは表示されません。比率(注1)と単位の読み替え(注2)が必要です。

単位については、電流クランプには電流出力タイプと電圧出力タイプがありますので、組み合わせて使うマルチメーターでお選び頂く測定ファンクションが出力タイプに合っているかご確認ください。また、電流クランプには交流電流専用と交流/直流が両方とも測定できるものがあり、交流専用クランプで直流電流を測定することはできません。

(注1)比率はモデルによって異なります。

クランプ測定イメージ

(注2)

【電流出力タイプの例】比率が1mA/1A(1A測定時に1mAが出力される)の電流クランプで200Aの電流を測定すると200mAが出力されます。このときマルチメーターでは電流測定ファンクションを選びます。この場合、画面に表示されているミリアンペア値を1000倍に読み替える必要があります。

【電圧出力タイプの例】比率が1mV/1A(1A測定時に1mVが出力される)の電流クランプで400Aの電流を測定すると400mVが出力されます。このときマルチメーターでは電圧測定ファンクションを選びます。この場合、画面に表示されているミリボルト値を1000倍してアンペア値に読み替える必要があります。

質問5:ディスプレイに「OL」と表示されます。これは何ですか?

答5:測定に使用しているレンジで測定可能な最大値を超えているために値を表示できない場合、ディスプレイに「OL」と表示されます。これは「overload」、「open line」や「over limit」を意味すると考える人もいますが、実は明確な意味はありません。これは略語や頭字語ではなく、メーターが測定できないほど値が大きすぎることを示すためにフルークが使用している記号です。

質問6:雷のようなマークが表示されるのは故障ですか?

答6:マルチメーターの画面に表示される雷のようなマークは高電圧の警告表示で、使用者に対して感電への注意を促します。ほとんどのモデルでは30V以上の電圧を測定しているときに表示されるのが正常な状態です。

このマークに追加の意味がある場合はユーザーズ・マニュアルに記載があります。

高電圧マーク

質問7:テストリードをショートして抵抗測定しても表示がゼロになりません

答7:デジタル・マルチメーターの抵抗ファンクションでは、メーターから直流電流を発生させ、測定している抵抗の両端に生じる電圧降下を測定しています。その際、お使いのテストリードのリード線抵抗や接触抵抗が含まれてしまうため、測定したい抵抗器を取り外してテストリード先端をショートした場合でも表示がゼロにならないことがあります。リード線抵抗が無視できない場合は、以下のような対策をご検討ください。

・ 抵抗値を記録しておき、被測定抵抗の測定結果から引き算する

・ 相対(REL)測定ができるモデルを使ってリード線抵抗をあらかじめ引いておく

・ 4線式抵抗測定ができる測定器を用いる

・ テストリードが劣化している場合は交換する

抵抗測定イメージ

質問8:絶縁抵抗や接地抵抗を測定できますか?

答8:絶縁抵抗や接地抵抗の測定とデジタル・マルチメーターの抵抗ファンクションは測定原理が異なるため、マルチメーターでは測定できません。デジタル・マルチメーターの抵抗ファンクションでは、メーターから直流電流を発生させ、抵抗の両端に生じる電圧降下を測定し、オームの法則によって「抵抗=電圧÷電流」を計算して画面に抵抗値を表示します。

例えば絶縁抵抗を測定する場合には、測定器から試験電圧を発生させて測定対象に印加し、その電圧によって生じる電流を測定するため、専用のファンクションを搭載した絶縁抵抗計が必要になります。

質問9:ライフタイム保証とはなんですか?

答9:保証期間が「ライフタイム」のデジタル・マルチメーターは、フルークがそのモデルを製造し続けている限り製造上および使用資材に関する欠陥がないことを保証する、品質の証です。この保証はフルークがそのモデルの製造販売を終了してから7年、または新品購入後10年のいずれか長い方の期間継続します。

この保証はヒューズ、電池等の消耗品、乱暴な取り扱いや誤使用、汚染・改造・仕様外の使用による損傷、その他異常な状態による損傷には適用されません。また、LCDの保証期間は新品購入後10年です。

質問10:モデル名に「SI」と書かれているものがありますが、どういう意味ですか?

答10:モデル名にSIがついているデジタル・マルチメーター(対象モデル:17928-287-5287289)は仕向け地が日本用になっているもので、フルーク・ジャパンを通して購入された国内正規品にはSIがついています。温度測定の単位が℃(摂氏)のみ表示され、℉(華氏)には変更できないようになっています。それ以外の機能や仕様は、SIのない海外モデルと同じです。

質問11:温度が測定できるモデルに適合する熱電対はどれですか?

答11:温度が測定できるモデルでは、「K型」熱電対を用いて温度を測定します。

熱電対の標準的なコネクタは、極性のある一対の平板状ブレード(片方は細く、もう片方は太い)のミニプラグですが、デジタル・マルチメーターにはこのタイプの入力端子がありません。

熱電対ミニプラグ

一部のモデルには、K型ビーズ熱電対プローブの80BK-Aが標準付属しており、別売アクセサリーとしても購入可能です。

ビーズプローブ

標準的なK型プローブを使用するには、入力アダプタの80AK-Aが必要です。このアダプタを使用すると、ミニプラグ・コネクタの熱電対プローブを使用できるようになります。

熱電対アダプタ

参考ページはこちらをクリックしてください。

質問12:電源は乾電池の代わりにニッケル水素充電池を使っても問題ないですか?

答12:マニュアルや製品仕様書などに記載がない限り、乾電池で作動するメーターにニッケル水素充電池を使用することは正常な作動・性能を保証していません。

質問13:マルチメーターは校正したほうがいいのですか?

答13:フルークでは、定期的な校正を推奨しています。デジタル・マルチメーターの測定確度は校正後1年間の仕様として規定されており、推奨校正周期は1年です。また、ISOなどの監査対象機器の場合には校正証明書などの記録を必要とする場合があります。

校正のご用命は弊社サービスセンターまでお問い合わせください。こちらのページを参照してください。

質問14:機種選定のポイントを教えてください

答14:何を重視するかによっても変わりますが、機種選定するときの代表的なポイントには以下のようなものがあります。

・ 測定したいもの(例:直流電圧)の最小値(例:10mVを測定したい)、最大値(例:800Vまで測定したい)や表示分解能(例:10mVを測定するときに画面上で0.1mVの桁まで読み取りたい)の要求を満たしているか

・ 周波数測定や静電容量測定など、必要な機能がすべて揃っているか

・ 測定確度の要求仕様を満たしているか

・ 測定カテゴリー(CAT定格)が用途を満たしているか

・ 交流の測定方式(真の実効値/平均値応答実効値表示)の希望があるか

・ 特有の用途(高い防水防塵(IP定格)性能が必要、本体に測定値を記憶したい、スマートフォンに測定値を飛ばしたい、直流1500Vまで測定したいなど)があるか

・ 修理/校正のサポート体制

・ (予算)

質問15:「CAT IV 600V」と書かれているのはどういう意味ですか?

答15:CAT IV 600VやCAT III 1000Vといった表示は「測定カテゴリー」の区分と「対地間電圧」の仕様をあらわしています。使用する環境により、回路のエネルギーや過渡過電圧に対する保護が異なるため、IEC/EN 61010に基づいた測定カテゴリーと定格電圧にあった測定器の選択が必要になります。

IEC/EN 61010では測定器を使用する環境によってCAT II、CAT III、CAT IVという3つのカテゴリー区分を設けており(下図参照)、あわせて使用できる対地間電圧が規定されます。カテゴリー区分と対地間電圧から、そのツールが耐えられる過渡過電圧が分かります。例えばCAT IV 600Vのツールは8000Vの過渡過電圧に耐える設計になっています。

測定カテゴリー

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