質問1：画素数（分解能）とは何ですか？

答1：画素数（検出分解能）は1つの熱画像から得られる温度ポイントまたはピクセル数を意味しています。画像を縦横に分解して「320×240」のように表現されます。画素数が多いほど生成される熱画像の解像度も高くなり、画像から得られるデータの精密さが向上します。サーマル・カメラを使うと1つ1つの画素に対応した温度データが得られますが、それらを数値で確認するためには専用ソフトウェアを使う必要があります。

質問2：どれくらい小さいものの温度が測定できますか？

答2：初めに、モデルごとに仕様として公開されている空間分解能（IFOV）を使って、1つの画素に対応するスポット・サイズを計算してみます。サーマル・カメラの仕様にはmRad（ミリ・ラジアン）の単位で表した空間分解能があります。この空間分解能（mRad）に、サーマル・カメラと測定対象物との間の距離（メートル）を掛け算すると、1画素に対応したスポットの実サイズ（ミリメートル）を計算することができます。

例えば空間分解能が1.86mRadのサーマル・カメラを使って、測定距離1.5mから測定した熱画像では、1画素あたり2.79mm（1.86×1.5）がスポット・サイズの理論値になります。



ここで、この1画素に対応した理論上のサイズではなく、3×3画素で測定される大きさまでを限度にすることが実用的とされますので、この例ではおよそ8.5mm程度を下限サイズの目安とします。実際の下限サイズはモデルごとの空間分解能、オプション・レンズの有無、測定距離から試算します。

質問3：測定を始める前にウォームアップが必要ですか？

答3：より良い測定をおこなうにはウォームアップが必要です。

ウォームアップ時間はお使いのモデルや環境条件によって変化しますが、ほとんどの場合は3～5分で完了します。最高の性能を発揮するためには10分以上ウォームアップしてください。温度差が大きな場所間を移動させたサーマル・カメラは、より長いウォームアップ時間が必要になる場合があります。

質問4：どれくらい正確に温度測定できますか？

答4：推奨校正周期（フルークのサーマル・カメラは2年）に従って校正されたサーマル・カメラの測定確度は、読み値（表示されている測定値）の±2%、または±2℃、のいずれか大きいほうになります。サーマル・カメラが持つ、温度差を識別する能力（温度分解能）は非常に高いですが、測定温度の絶対値を重要視する用途では性能と要求仕様の検討が必要になる場合があります。

質問5：フレーム・レートとは何ですか？

答5：フレームレートは、カメラのディスプレイに表示される熱画像が1秒間に何回更新されるかを表す数値で、単位は主にHz（ヘルツ）またはFPS（フレーム毎秒）が使われます。多くのモデルはフレームレートが9Hzで、1秒間に9枚の熱画像を生成しています。

静止している／温度変化がゆっくりした測定対象ではフレームレートの違いは気になりませんが、動きがある／温度変化が速い測定対象では、フレームレートが高いカメラを使用する方が、画像が滑らかで見やすく、温度変化データの取りこぼしも低減されます（放射分析ビデオが撮影できる場合）。

フレームレートが9Hz以上のカメラは、9Hzのカメラに比べて購入時に必要となる手続きが異なる点は注意が必要です（書類作成、提出、保管、など）。詳しくは営業担当までお問い合わせください。

質問6：PTi120の内蔵バッテリーは交換できますか？

答6：PTi120のバッテリーは販売しておりません。交換が必要な場合は分解せずに、弊社サービスセンターまでお問い合わせください。こちらのページを参照してください。

質問7：専用ソフトウェアとはどのようなものですか？

答7：フルークではサーマル・カメラ用のソフトウェアを複数ご用意しております。無償のソフトウェアはホームページからダウンロードしてWindowsパソコンにインストールすることができます。

【InsideIR】　販売を終了したモデルTi20およびTi30用のソフトウェアで、Windows XP以降のサポートは終了させて頂きました。

【SmartView Classic】　熱画像の温度抽出、画像修正、レポート作成などが手軽にできるソフトウェアで、多くのお客様にご利用頂いております。対応するカメラ・モデルは下記のページを参照してください。

【Fluke Connect Desktop】　SmartView Classicの機能に加え、クラウド・ストレージを利用したデータの同期やチーム・メンバーとのデータ共有などができるソフトウェアです。初めてのインストール時にはインターネット接続が必要で、手順の中でFluke Connectアカウントを設定します。自分のアカウント名を使ってソフトウェアにログインすれば、異なるパソコンからでもクラウド・データにアクセスすることができます。

【SmartView IR】　熱画像の温度抽出、画像修正、レポート作成などが手軽にできるソフトウェアです。対応するカメラ・モデルがSmartView Classicとは異なります。下記のページを参照してください。

無償ソフトウェアはこちらからダウンロードできます。

質問8：カメラとパソコン（専用ソフトウェア）がうまく接続できません

答8：お使いのモデルに応じて、下記の内容をご確認ください。

・ 該当モデル：PTi120、TiS20+、TiS20+MAX、TiS55+、TiS75+、Ti300U、Ti480U

カメラとパソコンをUSBケーブルで接続すると、自動的に外部記憶装置のドライブとして認識されます。Windowsのエクスプローラーで下図（PTi120の接続例）のように表示されていれば、専用ソフトウェアがなくても撮影済みのファイルをコピーまたは移動できます（熱画像の分析やレポート作成には専用ソフトウェアが必要です）。図のようにドライブとして表示が出ない場合は、後述する【注意事項】をご確認ください。



・ 該当モデル：TiS60+、Ti300+、Ti401PRO、Ti480PRO、TiX501、TiX580、および旧Ti、TiX、TiS各シリーズ（販売終了品）

専用ソフトウェアがUSBケーブルで接続されたカメラ本体を認識しない場合には、お使いのパソコンのデバイス マネージャーを開いて確認します。（1）サーマル・カメラが「ネットワークアダプター（RNDIS）」として正しく表示されているのに、専用ソフトウェアから認識できない場合は、後述する【注意事項】をご確認ください。（2）カメラが「不明なデバイス」や「ほかのデバイス」として表示されている場合は、こちら（こちら、をクリックしてPDFファイルを開きます）の手順でデバイス・ドライバーの更新が必要です。この手順で進めてもデバイス・ドライバーがインストールされない場合は下記をお試しください。

1. 先ほどのPDFファイルで手順5「コンピューターを参照してドライバー ソフトウェアを検索」まで進め、次に「コンピューター上の利用可能なドライバーの一覧から選択します」を選びます

2. デバイスの種類の中から「ネットワークアダプター」を選んで「次へ」を押します

3. 製造元の中から「Microsoft」を選び、モデルの中から「Remote NDIS Compatible Device」を選んで「次へ」を押します

4. 警告メッセージが表示された場合、「はい」を選んでインストールを続けます

5. 「ドライバーが正常に更新されました」と表示されたら「閉じる」を押します

6. デバイス マネージャー内の「ネットワークアダプター」という分類の中にサーモグラフィ（RNDIS）が認識されます

【注意事項】サーマル・カメラがパソコンや専用ソフトウェアから認識できない場合は、以下についてもご確認ください

・ カメラの電源が自動電源オフ機能などで切れていないか

・ USBケーブルが破損していないか

・ USBコネクタ（カメラ側、パソコン側）に接触不良がないか

・ パソコン側のUSBを別なポートに変えたら認識するようにならないか

・ お使いのパソコンのセキュリティ設定で、会社IT部門などの許可がないドライブやネットワークアダプターの使用が禁止されていないか（注1）

・ お使いのパソコンに、ドライブの暗号化ソフトなどがインストールされていないか（注1）

（注1）会社方針のセキュリティ設定やお使いの暗号化ソフトウェアによっては、フルークのサーマル・カメラを一切受け付けない場合があります。撮影ファイルの保存先をカメラ内部のSD（マイクロSD）にしておけばSDカードの抜き差しでファイルをコピーまたは移動できます。ただし、セキュリティ設定によって許可のないSD（マイクロSD）が使用できないパソコンでは、会社のセキュリティ方針に従った記憶メディア利用手続きが必要になる場合があります。

質問9：露点アラームとは何ですか？

答9：モデルTiS75+に搭載されている色アラームで、カメラから測定環境の温度と湿度を入力すると露点を計算して色アラームのしきい値に設定されます。画面には結露の潜在的リスクがある場所に色が表示されますので、カビ形成の危険性などを知ることができます。

（表示例）

質問10：TC01AはタイプCコネクタのiPhoneで使えますか？

答10：モバイル・サーマル・カメラTC01Aはアンドロイド専用のため、コネクタがタイプCであってもiPhoneにはお使いいただけません。

質問11：スマホ用サーモを延長ケーブルでつなげるとアプリが反応しません

答11：モバイル・サーマル・カメラTC01A／TC01Bをスマートフォンに直接接続したときは問題なく、延長ケーブルで接続するとアプリが反応しない場合は、以下の原因が考えられます。

・ ケーブルが破損している

・ お使いのケーブルが充電専用のため、データ転送に対応していない

質問12：体温を測定できますか？

答12：できません。フルークのサーマル・カメラは測定対象物の表面温度を測定します。測定対象が人体の場合には体表面（皮膚）温度を測定することになるため、体温（深部体温）とは異なります。

質問13：サーマル・カメラは校正したほうがいいのですか？

答13：フルークでは、定期的な校正を推奨しています。フルークのサーマル・カメラの推奨校正周期は2年です。ISOなどの監査対象機器の場合には1年ごとに実施した校正証明書などの記録を必要とする場合があります。

校正のご用命は弊社サービスセンターまでお問い合わせください。こちらのページを参照してください。

（注1）モバイル・サーマル・カメラTC01A、TC01Bの校正サービスは提供しておりません。

質問14：オプションのレンズを何台かのカメラで使い回しても問題ありませんか？

答14：モデルによっては問題があります。

【Ti480PRO／TiX580用レンズ】　4種類のオプション・レンズがあり、個別のレンズには固有の校正定数が保存されています。このレンズをカメラ本体に装着すると、カメラが校正定数を含むレンズ情報を読み取ります。校正されているカメラと、校正されているレンズを使う限り、カメラとレンズの組み合わせは使い回しても問題ありません。

【Ti300U／Ti480U用レンズ】　3種類のオプション・レンズがあり、カメラ本体とレンズを組み合わせた場合の校正定数はカメラ本体に保存されています。このレンズをカメラ本体に装着すると、カメラが校正定数は含まないレンズ情報を読み取ります。1台のカメラで3種類すべてのレンズを入れ替えながら使用できますが、校正定数がカメラ側に保存されているためカメラを使い回すと正しい温度測定ができなくなります。

質問15：海外に持ち出して使いたいのですが、何か手続きが必要ですか？

答15：サーマル・カメラを国外に持ち出す場合、リスト規制に該当するモデルは日本国政府（経済産業省）に輸出許可申請の手続きが必要です。また、米国製のセンサーを使用しているカメラは米国政府の再輸出許可が必要になる場合があります。

フルーク・ジャパンでは、お客様が弊社製品を輸出される場合には再輸出に関する質問書をご提出いただき、日本の輸出管理法令上の規制並びに米国輸出規制に該当するか否かを判定した該非判定書を発行しています。再輸出に関するお問い合わせは、こちらのページを参照してください。